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連載コラム

天才鬼才インタビュー
カントクたちがAVを撮る理由

第80回 馨(後編)
「専属単体女優の縛りを超えた撮り方」

前編はこちら→「いつか辞めるはずだったのに」

監督

「AVはほとんど見なかった。風俗も行かない。彼女がいたから必要なかったですね」というリア充だった馨監督。業界を辞めたい辞めたいとばかり願いながらAV監督になってしまってもう8年目。後編では台本の書き込みのサジ加減、最も信用のできるあの男優、印象に残っている作品や女優、ハメ撮りをやらない理由などを明かしてくれた。

──社員監督だと、ディレクター業だけに専念できなかったからフリーの道を選んだということですね?

「そうですね。制作会社では会社での雑用など何でもやるという形だったし、会社に囲われてたわけですよね。作品の面でも、専属の単体女優としか仕事ができませんし」

──社員監督の宿命ですね。

「それがフリーになると、企画女優と仕事をしたり、素●物などを撮らせてもらえるようになって、視野が広がりましたね。今回も、kmpさんから『教えてビッグダディ!!林下清志のHowtoSEX!!』を撮らせてもらえましたから。そういう意味では、マキシングでいろいろ勉強させてもらったおかげで、今につながっていると感謝してます」

──マキシングは監督が好きなものを撮れる恵まれた環境のメーカーじゃないですか。プロデューサーから企画をダメ出しされることもない。

「僕が在籍していた頃は、何を撮っても売れていた時代だったから、監督の自由さは今以上でしたね」

──今月放送される『教えてビッグダディ!!林下清志のHowtoSEX!!』では、大槻ひびき阿部乃みく南梨央奈といったそうそうたる顔ぶれがキャスティングされていますが、彼女たちのような企画単体の女優と初めて接したとき、メーカー専属単体女優との違いは感じました?

「人気のある企画単体の女優さんは、みんな武器を持ってますよね。専属単体女優に負けないようにという意識もあると思うんですけど」

──潮吹きが得意であるとかですね。

「はい。毎日のようにいろんな現場を巡ってるし、テンションも高いし、頑張り屋だなというのも感じますからね」

──監督は、どんな女性がタイプで、女性の体ではどのパーツが好きですか?

「女性のタイプとしては特にこだわりはないですね。その女優さんをどうエロく見せていくかというのに気を遣うだけで。まぁ、気になるパーツとしてはお尻ですかね。kawaiiやE-BODYで尻物は何回か撮らせてもらってます」

──お尻はどう見せるのが好きですか?

「難しいですね。自分で見て、いいな、エロいなと思っても、それを映像でうまく表現できなかったりもしますし」

──なるほど。男優で一番信用して使っている人は誰ですか?

「森林原人さんです。撮影前にカラミの段取りを話すと、すぐに頭に入るし、僕がどういうものを撮りたいというのをわかってくれてるので、すごく信頼してますね」

──台本はどの程度まで書き込むんですか? 本当にメモ程度の台本を書く監督がいれば、カラミの体位から流れまでびっしり書き込む監督もいますが。

「僕はけっこう書くほうでしたね」

──でした、というのは今は違うということ?

「今は使い分けてますね。マキシングにいた頃は、ドラマ物じゃないにしても、カラミの最中での男女のやり取りとかも台詞で書き込んでました。新人女優が多かったので、わかりやすく伝えるという意図もありました。その後、企画単体のベテラン女優と仕事する場合は、女優さんの気持ちを優先するので、細かいことを書く必要がないですね」

──たとえば森林原人と大槻ひびきで、社長と秘書の設定のカラミだと、何も注文しなくてもきっちり見せてくれるということですね?

「はい。パンストを破くのか破かないのかなどの最低限の約束事以外は、もう『好きにやってください』以上のことはいいません。台本に書き込むのはシーンの流れくらい」

──企画物だと、いろいろな設定がありますが、特に印象に残っている作品というのはありますか?

「依頼された企画をいかに自分らしく撮れているか、というところをいつも気をつけているんですが、kmpで撮った、単体物ではありえないような設定の作品は印象深いです。自分の引き出しが増えましたね」

──ありえない設定というと?

「やたら長いタイトルのものがあるじゃないですか。SCOOPレーベルとか」

──馨監督が撮ったものは『子供が幼稚園で一緒の美人ママ友達に『モデルしませんか?』と騙し取材!仕事に育児に追われ欲求が溜まった体は制御不能!先っぽだけの約束が中●しまでされ『えっ?』 5』(2014年)、『地元の同窓会で人妻になった同級生達とすごーくHな王様ゲームをしたら、憧れのあの子のおっぱいとパンティが見放題になって、さらにヤリまくり!! 2』(2016年)などですね。長いタイトルですね。

「こういうのを監督させてもらうなかで、もっとこう撮ったほうがエロいんじゃないかなって工夫して考えるんですよね。隠し撮りのアングルを生かしたり」

──単体物でも素●物でも、もっとエロく、と考えて腐心している部分は同じなんですね。

「はい、そうです」

──これはしんどかったという現場はありますか?

「企画面の問題じゃなかったんですけど、E-BODYの作品で沖縄ロケしたやつですね」

──何が厳しかったんですか?

「天候です。女の子3人を連れていって、3日で3作品撮るというスタイルだったんですが、特に2日目が一番天気が悪いうえに、よりによってオールロケ(外撮り)の作品だったんです。沖縄の1月の気候をナメてまして、嵐の中で、男優は全員ダウンしましたね」

──沖縄イコール青空のイメージを一般人は思い描きますよね。どう乗り切ったんですか?

「女の子も頑張ってくれて、暴風雨の中で、撮りきりました。無人島に数名の男と女の子ひとりが漂流して、そこで男たちとヤるという設定だったんですけど、キツかったですねぇ。機材を濡らして壊すわけにもいかないし。『セックス島の美月〜無人島に漂流、周りは全員男〜 赤井美月』(2014年)です」

──今月kmpチャンネルで放送される『教えてビッグダディ!!林下清志のHowtoSEX!!』以外に、馨監督の作品で特にこれは見てほしいというものはありますか?

「SODクリエイトさんで撮らせてもらった『紗倉まな 媚薬催眠トランス大絶頂セックス』(2015年)は、紗倉まなのイキっぷりがすごく、イカセ物の中でも抜群だと思うので、見てほしいですね。あとはマキシング時代に、由愛可奈の前に撮った木下柚花のデビュー作です」

──いましたね。うぶなデビュー作だった記憶があります。

「そのデビュー作『新人 木下柚花』(2009年)は、できないなりにすごい頑張ってました。自分を表現できないからって泣いちゃう子は当時見たことがなくて、そこがすごく印象に残ってますね。うまく彼女に導かれた感じで、作り手の側に『こっちも頑張ろう』って気を起こさせるんですよ。そこからですね、女の子としっかり話すことは自分のモチベーションを上げることにもつながるんだと思うようになりました」

──制作会社を辞めてフリーで素●物や企画物を撮るようになって、その経験が、いろんなメーカーの専属単体女優を撮る際に役に立っている部分はあるんですか?

「ありますね。マキシングの頃は縛りがあったんですね、これ以上はやっちゃダメだって。でも、企画単体女優とたくさん仕事をした後にまた専属単体女優を撮るとき、縛りはあるんですけど、その中で『どうしてもこれは撮りたい』と言えるようになりました。このコのよさはこう撮ればもっと引き出せる、というものが見えるようになったんです」

──監督はデビュー8年目です。前編で話していた、業界から足を洗う機会を窺いながら撮っている、という気持ちはもうないんですね?

「さすがにもう、自分からは辞めようとは思ってないです(笑)。逆に、いろんな若い監督が出てきてるんで、いつ首を切られるんだろうって恐怖はつねに感じてます。自分で演じてカメラも回してという、マルチな監督さんて今はすごく多いですからね」

──ハメ撮りはしないんですか?

「パンツを脱いだことは、1回だけマキシング時代にあったんですけど、その作品が諸事情があってお蔵入りになってしまったんです」

──くしくもそうなんですね。ハメ撮りをその後やらないわけは?

「1回やって、もうやめようと思いました。ああこれは自分には向いてないなと。プライベートでやるのとカメラの前でやるのは全然違うんですよ。そのお蔵入りになった映像は、カメラマンを別に立てて、僕が手コキされているのを撮った主観物だったんですけど、どうしてもダメで……」

──そういうシチュエーションでは興奮できないとわかった?

「はい。だから男優さんにやってもらって、僕はしっかりディレクションのほうに力を入れようって決めたんです」

──この仕事をやっていて達成感を感じるのはどんなときですか?

「撮り終えたときです。しかも、自分の描いたシナリオどおりにうまくいったときですね」

──最後に、教えてほしいのは監督名の由来です。

「漢字1文字にしたかったんです。なおかつ読みづらいやつにして人の目を引く。それでいて、人の名前っぽい字ということで、何となく馨に決まりました」

インタビュー中、何度も「辞めたかった」と繰り返した馨監督だが、その監督名には目立ちたがりの負けん気がたっぷり詰まっていた。仕事が途切れる気配もなく、彼は当分AV業界を辞められそうにない。


Profile
馨(かおる)

1980年生まれ。高卒後に上京し音楽業界で働くが、勤務先の業務縮小にともない退社。2003年、映像制作を志してマキシングの前身となる制作会社に入社。2009年、『SUPER RIDER 乙音奈々』で監督デビューを果たす。以後、マキシングの社員監督として由愛可奈のデビュー作をはじめ多数の作品に関わり、2012年にフリー転身。2017年10月、『教えてビッグダディ!! 林下清志のHow to SEX!!』の監督として話題に。


文・沢木毅彦
さわき・たけひこ 1961年生まれ。フリーライター。AV草創期よりAV専門誌にレビュー、取材記事を寄稿。月刊誌、週刊誌、WEBで細々と執筆中。香港映画と香港街歩きマニア。ビールは香港の海鮮屋台で飲むサンミゲル(生力)とブルーガール(藍妹)が最好。
twitter:@berugiisan


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