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連載コラム

天才鬼才インタビュー
カントクたちがAVを撮る理由

第72回 菅原養史(後編)
「人妻の浮気SEXのリアルを実地調査」

前編はこちら→「高橋がなりを唸らせた『古臭さ』」

監督

AV業界の景気がいい時代に監督になり、好きなものを自由に撮れたという菅原監督。しかし、独身者ゆえに人妻のリアルな性を描くのに限界を感じたという。そこで既婚者のスタッフから人妻の心理をヒアリングするなどの努力を重ね、ついには自ら「不倫」を経験し、熟女AV監督として作品の肥やしにしているのだと明かしてくれた。

──いよいよドラマ物を撮り始めるわけですが、台本を書いて、それを溜池ゴロー監督がチェックしてOKをもらうという形だったんでしょうか?

「チェックはないです。自由に好きなものを撮らせてもらいました」

──いい環境だったんですね。

「何を撮っても売れるという景気のいい時代だったんです」

──菅原監督の個性が出ていると自負している作品を教えてください。

「個性が出てるっていうか、ちょっとやり過ぎちゃったなというのが『義母の匂い 白鳥美鈴』(溜池ゴロー/2008年2月作品)。当時、いろんなジャンルを網羅している日活ロマンポルノを見ているうちに、ちょっとエロからかけ離れたおかしいものを作ろうかなと思ったんです」

──逸脱に走る時期は必ずあるんですよね、クリエイターは。

「1シーンぐらいはいいかなと思ってたし、その女優さんも変態チックなことをやりたいというから、ダッチワイフとのレズプレイを撮ったんです。この女優さんと数年後に会ったときに、『あの撮影のおかげで変態プレイにめざめて、ついダッチワイフを買ってしまいました』っていわれましたよ」

──へえ、面白い女優さんですね。熟女女優を起用するにあたって、好きなタイプとか肉体のパーツなどあれば教えてください。

「女体のパーツとして、まず目が行くのは太股。スレンダーよりも肉づきのあるムッチリしたほうが好きですね。女の子がいう『ちょっと肉がついちゃって恥ずかしい』っていうくらいのがいい。タイプとしては、痩せてて綺麗な女より、ちょっと口説いたらヤれるんじゃないの? ぐらいの軽いブスが好きです。軽いブスって言い方もなんですけど(笑)」

──ホッピーを奢ってあげたらデキる? くらいの庶民的なルックスの人ってことでしょ?

「そうですそうです。安い居酒屋でもつき合ってくれる感じの。ヤリマンではなく真面目そうな女で、そういう人っているじゃないですか」

──わかります。当方も地元の安い居酒屋派なので。ずっと溜池ゴローで撮ってきて、環境の変化はありました?

「AVがそんなに売れなくなってきたじゃないですか。なので、溜池ゴローを傘下に置く会社側が内容を精査するようになってきて、好き勝手なことはできなくなったんですよね」

──自由放任から、打って変わって。

「売れれば何をやっても何もいわれないんですけどね。そういう方針でひと通りのものを撮ってきたんですが、煮詰まってきたので、溜池ゴロー監督とSODクリエイトでフランス書院原作のものを始めたわけです」

──今年は菅原監督のキャリアにとって大きな転機だったんですね。

「そうですね。ただ、溜池ゴローでやっていた仕事と比べると、SODクリエイトでの新しい仕事はかなり手がかかってます。まず原作を読むじゃないですか。300ページの原作を100何分にまとめるためにシナリオを書く。撮り終わって編集が終わったら、今度はナレーションを作っていくんです」

──あ、あの官能小説朗読調のナレーションは、編集が終わってから入れてるんですね。

「さらに、ナレーションを録音した後、どうしても(映像の)尺の長さに合わない箇所が出てくるから、また編集し直すんですよ」

──エロいナレーションが優先だから、編集の直しはやむを得ないんですね。

「そうです。だから、打ち合わせから始まって仕上がりまで10日くらいかかるんです。通常のドラマ物に比べて燃費が悪いんです」

──溜池ゴローで撮ってた通常のドラマ物だと何日間かかります?

「5〜6日ですね」

──ほぼ倍の手間暇がかかるんですね。さっき(前編で)照明を暗くするのが好きだとおっしゃった続きになりますが、演出のこだわりを教えてください。

「ローアングルですね。引き(ロングショット)でもローアングルにすると迫力も出るので」

──好きな太股は、どういうスタイリングがいいんですか?

「一番は黒ストッキングですね。でも、人妻の役のときはせいぜいベージュのストッキング。無理やり黒を穿かせることはしません」

──ともあれ、脚推しの画(え)が多くなってくるわけですね。

「太股、お尻が好きですね」

──SEXシーンを撮る際は、好きなポージングなどはあるんですか?

「ドラマ物なので、アクロバティックな体位はやらないですね。普通は男が映るのを嫌がるAVファンが多いんですけど、僕は男女がねっとりくっついてるのが好きなんですよ。だから正常位でこういうの(結合部分を見せるべく男側が背中を反らす)はダメです」

──それ、いかにもAV男優と女優の正常位ですね。男女が密着している正常位を好むのは、それがリアルな日常のSEXだと思うからですか?

「リアルですよね。僕は素●のラブホテルの流出物が好きなんですが、あれは第三者に見せるためのSEXと違うじゃないですか。ただ録画してることに興奮してるだけで」

──昭和の「モーテル消し忘れ」などですか?

「そうです。今もネットなどで見られるんですよね。どこかの若者と人妻がヤッてるやつとか」

──素●物にまさるリアルなSEX映像はないですよね。

「実際、人妻が誰かと浮気したらああいうSEXになるはずなんですよね。僕は結婚してないんですけど、4年くらい前に人妻とつき合ったことがあって、やっぱりああやって密着するんですよね。ラブホに入ると、まだエレベーターの中だというのにもう股間を僕の尻にこすりつけてきたりとか。そういう本能のままの女って好きだから、僕のドラマ物はそういう描写が多いと思います。理性のタガが外れた状態の。アングルがどうこうより、SEXにハマっていく女を描くのが好きなのかもしれないですね」

──菅原監督の作品では、女優には、もっと貪欲に男を求めてすり寄って、という演出をするわけですか?

「そうです。僕が不倫してた理由は、この仕事のためだったともいえるんですよね」

──人妻物の演出のために?

「そうです。その相手は、かつてつき合ってた女の子だったんですよ。結婚して子供を産んで、あるときフェイ●ブックでつながって、会おうか、って話になったんですよ」

──SNSはやはり浮気のツールとして機能してるんですねぇ。

「会って、2人で記憶をたどっていくうちに、すげぇAVみたいな展開だなってだんだん燃えてくるんですよね。いつの間にか自分がAVの主人公になってるんですよ、脳みその中で。自分が不倫してるっていう状態にどんどん興奮していく。あれは仕事上ですごくいい経験になってますね」

──芸の肥やしのようになってるわけですね。

「僕が熟女物を撮るうえで、一番困るのは、自分に結婚の経験がないっていうことなんです。結婚してる夫婦の描写ってよくわからないんですよ」

──なるほど。

「台本には、『この2人が夫婦である』ということがわかるシーンをある程度書く必要があるんですけど、本当に旦那とうまくいってないときの奥さんがどういう態度をとるのか、僕にはわからない。だから既婚者のスタッフに聞くんですよ。それで教えてもらったのが、本当に嫌で別れたい気持ちになると、ダブルベッドの端と端に離れて寝て、さらに、2人の間に布団で山を作るらしいんですよ」

──ほほう、布団の山で仕切る。

「これをバツ2のムービーのカメラマンの人から聞いたんです。布団の山はAV見てる人にどこまで伝わるかわからないんですけど、そこはリアリズムとして、いいなと思って。あと、妻が夫を誘うときにはどういうふうにいうのか? 『SEXしよう』っていうのもヘンだし。それを今度はスチールのカメラマンの人に、お宅はどうなの? って聞いたら、『抱っこしよう、だよウチは』って。なるほどなって」

──「抱っこしよう」かぁ。僕も独身だから、この台詞は浮かばないなぁ。

「そうやって、スタッフや女優さんのエピソードを参考にすることがありますね。あと、タクシーの運転手さんの話も参考になるんですよ。昔からタクシーに乗って昔の赤線の話を聞いたりするのが好きだったんですが、彼らはAVのネタも豊富だって気づきました」

──へえ。ドライバーって、わけありの人が多そうですよね。

「そうですそうです。わけありで、けっこうイケイケの人が多いんです。シモの話が好きな人も多い。夜遅くなったらまずタクシーに乗って、この人イケそうだなと思ったら、エッチな話をするんです」

──AV監督とは名乗らずに?

「名乗らずに話して、途中で『AV監督なんですよ』っていったら、必ずこっちを振り向くんですよ」

──ハハハ。

「顔を確認する。で、そこから僕への質問攻めになるか、自分はどういうAVを見てるか、の話になるかです」

──なるほど。AVに詳しいドライバーは多い?

「多いです。先日も、70過ぎてる人が、スマホのメモリが動画でいっぱいになってるといってましたからね」

──タクシーの運転手の話がドラマ物のAVに役立ったこともあるんですね?

「そういうこともあるんですけど、僕、もともとドラマ物のAVって需要あるの? って不思議に思ってたんですよ。自分で撮り始めるようになってもそういう疑問を持っていました。でも、運転手さんに聞いていると、年配の人であればあるほど、ある程度ストーリーがないと抜けないという人が多い。それに一番驚きました」

──ただのカラミでは興奮できない?

「自分が作品の中に入り込むという鑑賞の仕方ができなくて、どうしても客観視して見てしまうんだそうです」

──それで、ドラマ物のニーズがあるとわかった?

「そうです。中高年って女の子と知り合うことができないから、自分がそういう状況になることを想像できない。そこにドラマ物の需要があるんだって知ったんです。なので、今月スカパー!アダルトで放送される『フランス書院 人妻女教師と新人女教師〜S級の「最甘」世界〜 原作 神瀬知巳』(熟女・人妻専門Zaptv)も、イケるんじゃないかなって思ったんです」

──セールス実績としてはどうでしたか?

「この作品はDVDで売れたんですよ。ネット配信じゃなくて店舗で売れた。そこが何よりも嬉しかったです。狙った層にしっかり届いた。彼らのニーズにハマっていたことが証明されたんです」

──今後に向けて明るい材料ですね。ありがとうございました。では監督、読者に向けて、最後にメッセージをお願いします。

「人妻や女教師などが、やってはいけないことをやる。背徳ですね。その行為を撮りたいです。あと、女性の本能のまま、より下品に見せる。とにかく、下品に撮るということをつらぬいていきたいです」


Profile
菅原養史(すがわらおさむし)

1980年神奈川県生まれ。メキシコ映画『エル・トポ』をきっかけに映画作りを志し、大学在学中に某映画監督の門下に。2000年、AV制作会社に移ってADとして経験を積む。2003年、溜池ゴロー監督との縁を持ち、熟女の魅力に開眼する。2007年、AVメーカー「溜池ゴロー」にて『人妻(生)失神 内田知里拘束イカサレまくり編』を撮って監督デビュー。2017年、溜池ゴローを離れ、SODクリエイトの新シリーズに参画した。


文・沢木毅彦
さわき・たけひこ 1961年生まれ。フリーライター。AV草創期よりAV専門誌にレビュー、取材記事を寄稿。月刊誌、週刊誌、WEBで細々と執筆中。香港映画と香港街歩きマニア。ビールは香港の海鮮屋台で飲むサンミゲル(生力)とブルーガール(藍妹)が最好。
twitter:@berugiisan


放送情報
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