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連載コラム

天才鬼才インタビュー
カントクたちがAVを撮る理由

第55回 白虎(前編)
「昔はレズが苦手なザーメンマニア」

監督

可愛い女の子同士が愛し合う甘酸っぱくてエロい世界。レズ物を手がける監督は少なくないが、ユーザーを感情移入させる丁寧なラブストーリーを経て、むさぼりあうようなエロいカラミを見せてくれるのが白虎監督だ。ふだんレズ物に興味がないユーザーでも、いつの間にかヌケてしまう白虎作品の独特の魅力に迫る!

──今月はレインボーチャンネルHDで、「『あおいれな×宮崎あや』にゅるにゅる貝合わせ親友レズ!キモチ良くて止まらない!絶頂無限ループの両想い@女子●生百合!」という番組が放送されます。天真爛漫な宮崎あやに密かに想いを寄せるあおいれなという2人による学園物です。本当は両想いなのに、なかなか近づかない2人が、あることをきっかけに急接近するという、胸キュンキュンの展開でした。この脚本に込めた白虎監督の思いから伺っていきます。

「僕は、レズというよりは、女の子同士の甘く切ない、このコだから好きという一途な気持ちを描きたいんです。だから最近は、レズではなく百合って言葉を使うようにしてるんです」

──日活ロマンポルノのレズ物もタイトルは『百合族』でしたね。レズと百合にはニュアンスの違いがあります。

「レズっていうと下品に聞こえるというか」

──モロに肉体関係を想起させる感じがします。

「しかも、レズビアンの方からすればちょっと差別用語なんですね」

──ゲイの人も「ホモ」は差別用語だといっているし。

「そうなんですよね。僕の『百合』のコンセプトは、キスで完結する。キスまでにいたる2人の心の動きを丁寧に描きたい。そのあとの2人のことは視聴者さんに想像してもらいたいという思いで撮っています」

──人間、好きな人との初めてのキスが至高の瞬間ですよね。

「でもAVなので、そこから体で絡んでいただく展開になるんですけども」

──カラミのシーンの撮り方は、なにか意識していることはあるんですか。

「カラミに関しては、ほかの監督さんは、例えば5分ごとに止めて、あと30秒後にコレを喋ってという演出をすると思うんですけど、僕は基本的に30分とか40分て決めて任せるんです。欲しいプレイはいうんですけどね」

──女の子2人のライブ感を大事にしていると。

「そうなんです。5分ごとに切って『次はキスして、次はおっぱい舐めて』っていうのは2人の気持ちが一度そこで途切れてしまいますからね。それよりも2人の個性を見せたいんですね。今月放送される、あおいれなちゃんと宮崎あやちゃんの作品に関してはそれが上手くいっていて、百合を描いた作品では僕の代表作の1つになったかなと思います」

──カラミに至るまでのシナリオが丁寧ゆえに、女の子同士の濡れ場がより熱く感じられる名作だと思います。白虎監督がレズ物を撮っていこうと決めたきっかけは何だったんでしょうか。

「正直な話をいいますと、まだVHS時代でしたけど、10代の頃に見たAVの予告編で初めてレズ物に触れたときは気持ち悪いなと思ったんです。なんで女の子同士でこんなにベロベロしてるのかな、って」

──どんなジャンルをよく見ていたんですか?

「僕がAVにどっぷりハマるきっかけはごっくん物(ザーメン物)だったんです。当時のエムズやドリームシャワーシリーズなど、松本和彦監督や青木達也監督、黒澤あらら監督の作品を当時は好んで見てました。今では親友として仲良くさせてもらっている麒麟監督がワープエンタテインメントの社員として撮っていた頃の作品も大好きでよく見ていましたね。」

──そうだったんですか。レズ物はむしろ嫌悪していたということですか。

「苦手でしたね。それでザーメンマニアの時期が続いたんですが、ある1人の女優さんをレズ物で見つけて目覚めました。それが、のちに僕の監督デビュー作に出ていただく桐原あずささんなんです」

──彼女は初期からバイセクシュアルが売りでしたね。

「『舐め愛レズビアン』(OFFICE K’S=2008年)という作品でした。豪華キャストで、桐原さんがいろんな女優さんとカラんでいく作品なんです。この頃にはだんだんレズ物を見られるようにはなっていたんですけど、この作品の桐原さんを見て、完全にレズにハマりました。彼女のやるプレイは常に愛に満ち溢れているんですよね。AVでこんなに相手に対して愛情をもって接している女優さんは初めて見ました。ありがたいことに監督としての1本目を桐原さんで撮ることができ、この『舐め愛レズビアン』を撮った高円寺☆ゴロー監督とも今では友人になれました。麒麟さんもそうですけど、僕的にはいろんな夢が叶ったという思いです」

──白虎監督のデビュー作は、『友田彩也香×桐原あずさ 美の共演 美しく淫らなラブラブフェティッシュレズビアン』(GARCON=2011年)ですね。

「監督面接で初めて桐原さんと会ったんですが、思った通り、いい方で」

──僕も彼女にインタビューさせてもらいましたが、ニュートラルで常識人で本当にいい人でした。

「でも、ブイ(AV)になると、目が変わるんですよね、取り憑かれたかのように。この人の何がすごいかというと、現場に入ったときからブイが始まっているって本人もおっしゃってるんですけど、相手の女の子に『何かあったらいってね』など気遣うというか、愛するというか。全身全霊で相手を愛でるみたいな。それを見て、レズを撮りたいというよりも桐原さんを撮りたいって気持ちになったのが僕の原点です」

──レズに覚醒したのは、AV業界に入ってからなんですか?

「僕は秋葉原のラムタラ(ビデオショップ)で1年半くらい店員をやっていました。レズ物のコーナーも担当していて、売るために見どころを書いたりしてたんです。そうしてちょっとずつレズが好きになってきた頃に、桐原さんの作品と出会ったんです。僕はもともと音楽をやってたんですけど、音楽じゃ食えないなって見切りをつけて、またAVにも興味があって、でもいきなり業界に入るのではなくて、販売店舗から世界を見てみようと思ったんです」

──それを経て、レズ物の監督になろうと決めてAD(助監督)から始めたんですね。最初に入ったのはギャル物専門のメーカー、GARCON(ギャルソン)。

「AV業界って門戸が広そうなイメージがあるけど、意外に狭かったりするじゃないですか。スタッフを募集してる会社じゃないと入れないとか。しかもどこに入ればレズを確実に撮れるかっていうのもわかりませんでした」

──だったらどこでもいいからとにかく業界に入ろうと?

「ギャルも好きだったんですよ。それで、タイミングよく募集広告を出していたGARCONに応募したんです。2010年の7月ぐらいに入社しました」

──GARCONは、環境的にはやはり体育会系?

「体育会系でしたね。ADに人権はないみたいな(笑)。僕ずっと1人だったんです。僕の後に入ったADも1〜2ヶ月で辞めちゃったりして。3人の社員監督のADをやりながら、ちょっとずつ自分の撮りたいものを固めていって、いざ撮らせてもらえる状況になったときに『じゃあ桐原さんで』って申し出たんです」

──監督になれたのは入社してどれくらい?

「早かったです。先輩の監督の現場のカメラや編集作業もやらせてもらいながら1年経った頃、『お前そろそろ監督やれよ』ってなったんです」

──レズ物を撮りたいいっぽうで、男としての女性の好みはギャル系だったんですか?

「ギャルは交際したいというより鑑賞用というか、すごいイキな奴らなので好きなんですよ。言葉遣いも含めて、素直で扱いやすいというか(笑)」

──じゃあ、おつき合いしたい女性となるとタイプはまた違う?

「けっこう清楚な、松下奈緒みたいな(照)。今そういう相手がいないんですけど」

──そうだったんですね。監督のデビュー作で桐原あずさの相手を務めている友田彩也香については、どういう思いでキャスティングしたんですか? 彼女は最初レズはNGだったらしいですが。

「僕が口説いたんですよ。彼女、レズバトルみたいな企画色の強いものはやっていたんです。GARCONでは毎月のように彼女を撮っていましたから、僕はADとしてお話をする機会があって、『今度、初めて監督やるんですけどレズどうですか』っていったんです。最初はレズはやりたくないって返事だったんですけど、僕が一所懸命に思いを伝えているうち、やってもらえることになりました。初めてレズのドラマ物を撮ったのも友田さんで、相手がみづなれいちゃんの『美人姉妹の禁忌(いけない)レズ愛 純粋な妹が強く優しい姉に向ける真っ直ぐな純愛』(GARCON=2012年)。だから友田さんは僕のターニングポイントに関わる大事な女優さんなんです。成長した彼女をまた撮ってみたいと思いますね」

──白虎監督の作品だと、女同士が喧嘩しながら愛情をはぐくむという『女同士の意地とプライドを賭けたオンナの奪い合い ビアン○学生ロ●ータレズバトル 愛須心亜vs篠宮ゆり』(V&Rプロダクツ)も傑作です。

「ありましたね」

──あれと今月オンエアされる番組で比べると、かなり振れ幅の広さを感じるのですが、監督の中で、演出上の共通したこだわりというのはあるのですか。

「僕の絶対条件というのは、ハッピーエンドで終わる。何本かはそうじゃないものもあるんですが、基本的にそこは揺るがないですね。映画の話になっちゃうんですけど、レズビアンを描いている映画って日本にも海外にもいっぱいあるんですけど、だいたい8〜9割がバッドエンドなんですね。僕はハッピーエンドで終わらないと嫌なんです」

──社会のマイノリティーゆえに不幸な結末に終わるという映画のほうが多いですね。

「そうなんですよ。だから僕は、幸せにしてあげたいなと思うんですよ。そのキャラが、見た人の中で記憶に残っていけば嬉しいなって」

──熟女からロ●ータまでいろんな組み合わせの百合AVを撮られていますが、特に好きな世界はあるんですか?

「百合を描くにあたって、ダントツに好きなのは女子●生同士です。ちょうど多感な時期で、しかもピュアじゃないですか。●学生だと子供すぎるし、大人と子供の中間という女子●生同士で百合を描くのが一番しっくり来るんですよね」

──僕もレズ物で一番美しいと思うのは女子●生同士ですよ。学校の制服を着ているがゆえに、大人として自由に行動できない無力な存在だから胸がキュンとなるんですよ。

「そうですね」

──今、旬なキカタン(企画単体)女優で女子●生物ができる逸材がすごく多いですよね。これまで撮ってこられた女優さんの中で、よかった人っていますか?

「僕は多方面でいってるんですけど、ダントツに1人いて。それは、涼川絢音さんですね」

売れっ子キカタン女優の涼川絢音の魅力に始まって、なるほどと納得させられるレズ物の演出術など興味深い話満載の後編をお楽しみに!


Profile
白虎(びゃっこ)

1981年埼玉県生まれ。高校卒業後はアルバイトをしながらミュージシャンを目指すが、見切りをつけてAV業界を志望。2008年、ラムタラ店員として桐原あずさの作品に触れてレズの魅力に覚醒。2010年、ギャル物専門AVメーカー「GARCON」入社。2011年に桐原あずさを起用したレズ作品で監督デビュー。2012年、AVメーカー「V&Rプロダクツ」に移籍。2016年、V&Rプロダクツを退社して制作会社へ移籍。多数のレズ作品を手がけている。


文・沢木毅彦
さわき・たけひこ 1961年生まれ。フリーライター。AV草創期よりAV専門誌にレビュー、取材記事を寄稿。月刊誌、週刊誌、WEBで細々と執筆中。香港映画と香港街歩きマニア。ビールは香港の海鮮屋台で飲むサンミゲル(生力)とブルーガール(藍妹)が最好。
twitter:@berugiisan


放送情報
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