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連載コラム

天才鬼才インタビュー
カントクたちがAVを撮る理由

第38回 嵐山みちる(後編)
「女性のコンプレックスに興奮する」
監督

──どういうものに性的な興奮をおぼえますか。

「僕は毛フェチですね。(股間の)剛毛が好きなんで」

──涼しい顔して尻毛までびっしりというギャップとか?

「はい。あと腋。視覚的にも好きだし、匂いも。ワキガとか超最高です」

──うわー、ワキガもOKていうか好きなんですかぁ。

「あと背中とか腕とかの汗疹(あせも)のブツブツ。あれも好きです」

──わかります。あのよさって何なんですかね。生活感?

「生活感じゃないですかね。同じフィールドにいる人なんだっていう感覚。お尻もちょっとブツブツがある感じが好き」 ──親近感沸きますもんね。

「親近感も沸きますか?(笑)」

──うん、沸きますよ。こんなに可愛いのに、オレなんかの肌と一緒だぁって(笑)。背中の産毛とかもその女性とSEXするような関係になってから発見しますよね。あれもいいなぁ。

「いいですね。でも、そういう僕が興奮するポイントに、女の子自身はコンプレックスを感じておいてほしいんですよ。たとえばもともと体毛が濃いっていうことを本人がすごく嫌だって思っていてほしい。全然いいよ、私は気にしてないっていうのは嫌なんですよ」

──わかるわかる。その女性のコンプレックスにグッと来るわけですからね。

「あと乳輪がすげぇデカいのも好きですね」

──女の子が恥ずかしがっているアイテムとしての、ですね?

「はい」

──嵐山監督の作風についてですが、インタビューから始まってイメージショットとリンクしてという単体物のあのスタイルはどうやって固まっていったんですか?

「村岡さんの作品を見てからですね」

──あー村岡哲也監督。はいはい。そう聞いて納得です!

「h.m.pに入ってから、研究のためにいろいろ見たんです。村岡さんが撮った古都ひかるのデビュー作を見て、村岡さんの世界観のちょっと異質なところがありつつ、普通にインタビューをしている、それがすごく面白くて。そこからですね」

──トーク部分からいい言葉を拾ってつなげて、BGMとも完全にピタッとシンクロさせる、あのh.m.p作品の冒頭のシークエンスは素晴らしい。あれを真似できる人はいないですよね?

「はい。あれをできる人はいないと思ってます」

──女の子の言葉の断片を再構成して、物語を作ってユーザーに提供しているわけですよね?

「そうです」

──なかなかしゃべってくれない女の子にはどう対処を?

「基本的にしゃべってくれないコのほうが多いんです。新人でいきなりカメラを向けられるんですからね。こういうことしゃべってほしいな、というその言葉を極力導いていくんです。それを1個しゃべってもらえれば、あとは全然大したことしゃべってなくても勝ち試合に持っていけます」

──そうか、珠玉のひとことがあればもうOK。

「はい。あと、AVに出演した理由を聞くと、言葉で上手くいえないコでも仕草からそれが見えたりもする。明るく振る舞ってるけどちょっと暗い面が見えたりとか。あとは一緒に食事しながらカメラを回してて、自然と僕にフォークとナイフを渡してくれたりとか、そういう仕草だけでも人間性が出たりするじゃないですか」

──育ちのいいコだなとか背景も見えますよね。そういうのを拾えて活かせたときは達成感を感じますか?

「はい。こっちが何もしなくても可愛くてしゃべりも100点ていう女の子はごく稀です。(前編で語った)かすみ果穂はその1人ですね」

──熟女物を撮るようになったのは、最初は会社の命令ですか? それとも自分からやりたいと志願?

「2010年頃にスカパー!アダルトのレインボーチャンネルの枠で熟女番組をやることになって、お前ら熟女好きか? って会社から聞かれたのが最初です。僕としては、もともとそこまで熟女物は興味なかったんですけど、知らないからやってみたいという気持ちになりました」

──「お前ら」っていうのは、当時2人いた社員監督の、嵐山みちる監督とヘイキチロウ監督のこと?

「そうです」

──ハメ撮りをした最高齢は何歳ですか?

「55歳ですね。そこから年上が好きになってきて、今でも50歳の人ともたまに遊んだりします」

──恋愛の対象は何歳から何歳までですか。

「僕が今32なんで、27~8ぐらいから50歳までですね」

──22~3くらいのピチピチしたコは?

「僕、妹がいないので、表現として変かもしれないですが、若い子は妹としてしか見られないです。性的な関心は湧かないですね」

──一般の女性とつき合うとき、AV監督業だと相手が知るじゃないですか。どんな反応をするんですかね。

「『ヤだー』っていう人とは今まで出会ったことないですね。『え?』っていうけど、興味あるみたいですね。知らない世界だし」

──性的な好奇心は誰でもあるということですか。

「街のコはみんなそういうエッチなことに興味があるんだなっていうのがわかりましたね」 ──『テレクラキャノンボール2013 賞品は神谷まゆと新山かえで』(HMJM)に抜擢され、『劇場版 テレクラキャノンボール2013』もあって有名監督になったわけですが、あの躍進のきっかけは何だったんですか?

「それはもう、沢木さんのおかげですよ」

──え!?

「今はなき『ビデオ・ザ・ワールド』誌で褒めてくださったからですよ」

──デビュー作からずっと嵐山みちる監督が撮り続けてた神谷まゆの4作目『日常 神谷まゆのリアルな生活を覗き見することができたなら』(2012年10月)を僕が年間ベストワンにした。あの一件?

「『ビデオ・ザ・ワールド』ってボロクソ書かれるじゃないですか。基本的に作品レビューが辛口で、点数が100点満点で80点台に乗ることすら珍しい。なのに、沢木さんは僕の作品を褒めて90点つけてくれたじゃないですが。あのレビューを読んで興味を持ったカンパニー松尾さんが作品を見てくれて『面白かった。この監督誰だ?』という流れから、『山松対談』に呼んでもらえたんですよ」

──『ビデオ・ザ・ワールド』の、カンパニー松尾とバクシーシ山下の対談連載のゲストですね。

「対談中に熟女のハメ撮りもやってることを伝えたら松尾さんはより一層好感を持ってくださって、松尾さんと仲良くなったことで、のちのちの“テレキャノ”にもつながるんです。あれに呼んでいただいたのは名誉なことだし、劇場公開もされたし、僕にとってすごく大きな出来事でした」

──あーそういう流れかぁ。しかし『日常 神谷まゆのリアルな生活を覗き見することができたなら』は画期的な名作ですよね。

「今はわりと当たり前になってますけど、一眼レフカメラの動画モードで撮ったんですよ」

──そうそう。被写界深度の浅い映像がすごく綺麗で斬新でしたね。

「その前の僕の作品でもイメージシーンではちょくちょく一眼レフカメラを使ってたんですけど、ドラマ部分も含めて全編それで撮ってみようって思ってやってみたんです」

──ドラマ物で全編あの撮り方をするのは業界初でしたよね。結局神谷まゆで8本を撮っているわけですけど、嵐山みちるという監督のキャリアにとって、彼女は特別な存在に見えます。

「恋愛感情はなかったですよ」

──やはり妹ぐらいにしか見えない?

「はい。でも、ほかのコよりもビジュアルも性格もずば抜けて可愛いなと思っていました」

──もし、神谷まゆが50歳になって熟女物で復帰したら、いいSEXができますか?

「そのとき僕も60近いですよ(笑)。えーと、58か」

──ときめくとは思いますか?

「ときめくでしょうね、たぶん」

──そんないろいろな思い出の詰まったh.m.pを離れて、嵐山みちる監督は2015年10月から紋℃監督の制作会社に入ったわけですが、単体女優を撮る際にこだわっていることは、どういうものがありますか?

「デビュー作を任せてもらうことが多いんですけど、デビュー作でSEXに色をつけるということは極力したくないんですよね。ありのままを見せたい」

──喘ぎ声があまり出なくても、日常このコはこういうSEXしてるんだ、ということを見せたいと?

「基本的にはそうですね」

──ほかのどの監督よりも単体女優の魅力を映すのに長けていますよね?

「その女の子を可愛く見せるという部分ではほかの監督たちに負けないと思います。イメージだけじゃなく、喋りも含めて」

──2016年の3月~4月にかけて、h.m.pを離れた嵐山みちる監督の単体女優作品が各社からリリースされ始めるわけですが、どこのメーカーで撮ったものですか?

「E-BODY、アイデアポケット、マドンナ、teamZERO、kawaiiです」

──h.m.p時代と環境の違いはあります?

「h.m.pのときは自由だったんですけど、メーカーによってハメシロをきっちり見せるようにいわれたり、例えば女優が『噛むのが好き』な人だったら、カラミの最中に必ず男優の体を噛むシーンを入れるように、わかりやすい注文が入りますね」

──今は充実した毎日ですか?

「そうですね。同じ方向を向いている紋℃監督と一緒に仕事をやっているのは大きいです」

──同じ方向というのは?

「最近はAVメーカーが自社で社員監督を抱えないようになっています。この業界の将来のためにも、下の世代をしっかり育てていこうという意識を紋℃監督も僕も持っています」

──将来の目標などはありますか。

「やっぱり監督として一番になりたいですよね。何をもって一番かはわかんないですけど」

──僕が『日常 神谷まゆのリアルな生活を覗き見することができたなら』などなどで虜にされた嵐山みちるのセンスと実力を世間に見せつけてください!

「そうですね。沢木さんのおかげでここまで来られたわけですからね」

──もうそれはいいですよ(笑)。会えて嬉しかったです。どうもありがとうございました!


Profile
嵐山みちる(あらしやま みちる)
1983年京都府生まれ。高卒後、テレビ業界での就職を目指して専門学校を経て東京のテレビ制作会社に入社。2年で退社し、2007年に老舗AVメーカーh..m.p入り。社員監督として単体女優作品撮影の経験を積みながら、カンパニー松尾監督と親交を深め、『テレクラキャノンボール2013』へ出演するなど注目される。2015年10月にh.m.pを退社し、現在は紋℃監督が経営するAV制作会社に所属し、単体女優作品を手がけている。


文・沢木毅彦
さわき・たけひこ 1961年生まれ。フリーライター。AV草創期よりAV専門誌にレビュー、取材記事を寄稿。月刊誌、週刊誌、WEBで細々と執筆中。香港映画と香港街歩きマニア。ビールは香港の海鮮屋台で飲むサンミゲル(生力)とブルーガール(藍妹)が最好。
twitter:@berugiisan


放送情報
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