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連載コラム

天才鬼才インタビュー
カントクたちがAVを撮る理由

第37回 嵐山みちる(前編)
「初出社の前日に会社が大騒ぎ」
監督

単体AV女優作品の老舗メーカーh.m.pの社員監督として、可愛い単体女優を誰よりも可愛く映し、その女優のファンならずとも魅了してしまう男。それが嵐山みちるだ。『劇場版 テレクラキャノンボール2013』(HMJM)をきっかけにさらに注目を集め、2015年秋には、8年間在籍したh.m.pを退社。いよいよ2016年春から、新しい環境で撮られたニュー嵐山みちる作品が市場に出る。単体AV界に新風を吹き込もうとする嵐山監督を直撃した!

──まず今月、スカパー!アダルトのレインボーチャンネルHDで、『性交覚醒 かすみ果穂』(h.m.p)がオンエアされます。かすみ果穂の魅力が存分に引き出された完成度の高い一作でした。

「この撮影を通して、僕は彼女を好きになりました。撮る前は、10年選手のベテラン女優だから、仕事モードの反応をする人なのかなとも思っていたけど、違ったんです」

──かすみ果穂を悪くいうAV監督っていませんよね?

「ほんと、撮る前に周りの監督に聞いてみたけどそうなんですよ。彼女の魅力っていうのは、撮る監督を100点に持っていってくれるというところなんですよ」

──その言葉は説得力ありますね。ラストの嵐山監督によるハメ撮りまで抜きどころ満載だと思います。

「かすみ果穂の可愛さが、SEXを通してはもちろん、SEX以外の部分でも存分に感じられる1本に仕上がりました。僕がh.m.pで最後に撮った作品ということもあり、ぜひご覧頂きたいと思います」

──あと、嵐山みちる監督のもうひとつの路線である熟女物も、今月は何本かオンエアされるんです。

「熟女の作品は、一般的にはドラマ物が多いけど、僕のはドキュメント物です。その人の人間性、キャラクターを引き出すというのが大前提ですね。熟女を撮るときはいっさい演出しないんです」

──冒頭のインタビューからSEXまでライブ感覚ですよね。

「ライブですね。攻められるのが好きという女性、攻めるのが好きという女性、それぞれの嗜好に応じてハメ撮りしてます」

──嵐山監督としては50代以上の熟女の魅力をどこに感じて、それを映像作品にどう結実させているんでしょう。

「50代のおばさんは、同世代のおじさんの前だと同じく年とった体だから平気でさっさと裸になれるんですけど、32歳の若い僕の前だと、服を脱ぐときに恥じらうんですよ、19やハタチの女の子みたいに。そういう部分も見どころですね」

──なるほど。若いイケメン監督ならではの効果。さて、監督は24歳になってh.m.pに入社するわけですが、それまではTV界におられたようですね。

「地元の京都の高校を出て、テレビのディレクターをめざして大阪の専門学校に2年通ったんです。卒業して、人の紹介で東京の制作会社に就職できたんです」

──それがきっかけで上京したんですね。

「放送局系列の制作会社で、1年目はメジャーリーグの野球中継のADをやっていました」

──へえ。あの頃は中継見てましたよ。AKI猪瀬さんの解説が勉強になりました。

「AKIさんとずっと一緒にやってましたね」

──AD業はやはり過酷でしたか?

「単純に寝れない、帰れない。アメリカと時差があるので、日本の朝方に生中継して、夕方のハイライト番組の準備があって、その番組が終わるともう次の朝の生中継の準備なんですよ。毎日放送がありますから」

──少ないオフタイムの楽しみは何だったんですか?

「風俗にいきまくってました」

──嵐山監督は、モテそうなリア充っぽい印象があるので、意外です。

「僕、最初は風俗とかまったく興味なくて。お金払って何で女の子とそういうことするの? と思ってました。お金を払わなくても、ナンパしたらできるじゃないって。でも、メジャーリーグがシーズンオフの秋に、柏のホテルに泊まっての仕事があったんです。仕事が終わって1人で柏の駅前をブラブラしてみたら、ピンサロがいっぱいあって、何となく入ってみようと思いまして……」

──初めての風俗の感想はどうでした?

「ピンサロってなんていいものなんだ! って、すっかりめざめました。パーテーションでほかの客と区切られただけの状態で手と口で抜いてもらうっていう、あのエロい空間がむちゃくちゃ刺激的でした。しかも当時住んでいたのが五反田でしたから、ハマるのはあっという間でした」

──五反田は風俗密集地ですよね。ピンサロ以外にもいったんですか?

「五反田の風俗はほとんどいきましたね。イメクラも箱ヘルも。忙しくてお金使う暇もなかったから、気づいたらかなり貯まってたんです。渋谷新宿はもちろん、西川口にも遠征してました」

──当時、つき合ってた彼女は?

「当時はいなかった。東京1年目はほぼ風俗ですね」

──AVは見てたんですか?

「毎週レンタルしてました。東京に来たときはVHSが主流だったのが、だんだんとDVDに移っていく時期です。AVを見るためだけに再生機能だけの一番安いDVDデッキを買って見ていました」

──当時、AVで好きだったジャンルは?

「素●物ですね。コギャルをナンパするやつとか」

──単体女優物は見なかった?

「まったく興味なかったんですよ」

──では、どうして2年でその制作会社を辞めて単体AVメーカーのh.m.pへと転職を?

「僕がいた会社はボートレースの中継が軸だったので、2年目からは『お前もボートいけ』っていわれて、メジャーリーグの仕事の割合が小さくなったんです。僕はギャンブルをまったくやらないので、ボートレースの楽しさもわからない。それなのに、朝9時から1日12レースをずっと中継するんです」

──それがストレスに?

「『オレはこのまま一生ボートを見る人生なのか?』と思うと、血便が出るくらい苦しくて、2ヶ月くらいで辞めました。そこからはフリーター暮らしでしたが、1年経った頃、そろそろちゃんとしようという気になって。いろんな映像ジャンルでの仕事を考えていましたけど、『AVってどうやって作ってるのかな』という興味があったところに、求人誌に載っていたのが熟女作品で有名なT映像とウチ(h.m.p)だったんです」

──そういう出会いだったんだ。

「2社応募して、両方とも面接を受けて合格しました。調べたらh.m.pは歴史がある会社だとわかりまして、業界の入り口としては、入るならこっちのほうがいかなと」

──不安感は?

「AV業界のことを何も知らなかったし、危ない世界だったら辞めたらいいやって思ってました。でも、会社から『○月□日から出社してください』といわれていた日の前日、テレビで夕方のニュースを見てたら、映ってるのが『こないだ面接にいった建物やん!?』。そこに捜査員100人くらいが入っていく。商品のモザイクが薄いって疑いをかけられて、家宅捜索が入ったんです」

──はいはい、h.m.pのあの家宅捜索は(スマホで調べて)2007年8月23日だ。すごいタイミングで入社、初出勤だったんですねー!

「明日ここにいくんか!? みたいな(笑)。で、いったらパソコンが押収されていて、もぬけの殻感があって、ここで働くんかァって(溜め息)。次の日は、とりあえず現場を見にいけということで、撮影現場に入りました。パソコンがないから香盤表(スタッフと出演者に配る撮影の進行表)が手書きで、大丈夫かなこの会社って、不安だらけでした(笑)」

──初めての現場はどんな作品だったんですか。

「明日花キララのデビュー2本目か3本目のやつです」

──テレビの現場と比べて戸惑ったこととか違和感は?

「全然なかったですね。被写体がSEXしてるぐらいで。あと、テレビの仕事と比べるとAVって楽だなァと思いましたね。当時は2日撮りだから余裕があって、だいたい夜7〜8時には終わっていたし、パッケージ撮影も別の日なので」

──まだAVが売れていた頃です。パッケージ撮影も含めて1日撮りの昨今からは、考えられない時代でした。

「4〜5年前ぐらいからですね、単体物でも1日撮りになったのは」

──初監督は入社半年ぐらいで、4人の監督が撮るオムニバス物でしたよね。単独での監督デビューが2008年11月発売の『最高級ドM失禁×号泣×凌辱 星アンジェ』。

「はい。お前にチャンスをやるといわれて、そのときのプロデューサーが沢庵監督の『脅●スイートルーム』(ドリームチケットの人気シリーズ)みたいなのをやってくれって」

──そうか。それであのオラオラ調教凌辱物になったんですね。ものすごく印象に残ってますよ。攻める男がガラの悪い関西弁。あんな作品を監督していたのが、こんなに爽やかな青年だったとのちに知って驚きました。

「人気のあるメーカー専属女優を撮るというんで、何か印象に残るものを作らなきゃ、とりあえず何かパフォーマンスしなきゃと思って、凌辱しながら汚い関西弁で攻めるっていうのをやったんです」

──あの作品以来、嵐山みちるは基本ドSだろうと認識してます。

「いえ、本質的には女の子を凌辱するのは好きじゃないです。可哀相じゃないですか」

──あ、そう? でも、主導権を握ってガンガンいくタイプじゃないですか。『テレクラキャノンボール』のハメ撮りを見てても。

「主導権は握っていたいんです。でも、性癖的な部分でいうとどっちかというとMだと思ってて」

──それは、たとえば?

「プライベートでのSEXは、主導権を握るっていう延長線上にあるけど、風俗では何も気を使わなくていいじゃないですか。90分なら90分、お金を払って90分後にはバイバイ。あと腐れもないんで、僕が四つんばいになって後ろから羽交い締めされながら手コキされるのが好きなんですよ」

──女王様に本格的に攻められるのは?

「ドSは嫌なんです。僕、エゴマゾなんで」

──あー、嵐山監督ってエゴマゾっぽいかも(笑)。

「痛いのとか、すごく怒られるのとかヤなんです。優しく注意されたい(笑)」

──なるほどねー。では、後編は、監督のフェチの部分や演出法などを伺いたいと思います!


Profile
嵐山みちる(あらしやま みちる)
1983年京都府生まれ。高卒後、テレビ業界での就職を目指して専門学校を経て東京のテレビ制作会社に入社。2年で退社し、2007年に老舗AVメーカーh..m.p入り。社員監督として単体女優作品撮影の経験を積みながら、カンパニー松尾監督と親交を深め、『テレクラキャノンボール2013』へ出演するなど注目される。2015年10月にh.m.pを退社し、現在は紋℃監督が経営するAV制作会社に所属し、単体女優作品を手がけている。


文・沢木毅彦
さわき・たけひこ 1961年生まれ。フリーライター。AV草創期よりAV専門誌にレビュー、取材記事を寄稿。月刊誌、週刊誌、WEBで細々と執筆中。香港映画と香港街歩きマニア。ビールは香港の海鮮屋台で飲むサンミゲル(生力)とブルーガール(藍妹)が最好。
twitter:@berugiisan


放送情報
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