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連載コラム

天才鬼才インタビュー
カントクたちがAVを撮る理由

第21回 ヘイキチロウ(前編)
「美少女単体のベタな演出を大切に」
監督
h.m.pビル前に立つ、ヘイキチロウ監督

ヘイキチロウ監督作品『こりゃたまらん! 可愛い変態の萌え照れレズ 有村千佳&初美沙希』(h.m.p)がスカパー!アダルト放送大賞2015の作品賞に輝いた。単体女優専科の老舗h.m.pの社員監督として、VHSテープ時代から続く単体物のスタイルを継承しているのが彼だ。オールドファンにとってありがたい同監督を会社まで訪ねました!

──初めまして。h.m.pの社員監督は現在ヘイキチロウ監督と嵐山みちる監督の2人だけと聞きました。

「そうです。入社は僕のほうが先なんですけど、嵐山のほうが年上です」

──いい布陣ですよね。タイプの異なる2人が単体メーカーを支えている。

「あっちは『テレクラキャノンボール2013』(ハマジム/カンパニー松尾監督)にも進出して劇場版もヒットしたスター監督ですからね」

──女性のAVファンからも人気があるそうです。

「会社でも、隣の席にスターがいる! って感じですよ。なので2~3年前は僕なんかもう鬱屈して劣等感のかたまりになっちゃってました(笑)」

──(笑)。嵐山監督が専属の神谷まゆと組んで「若手のホープ」と注目された頃ですね。専属女優のデビュー作が嵐山監督で、2作目がヘイキチロウ監督というパターンが多いですけど、葉山めいのデビュー作『処女宮』はヘイキチロウ作品。そのへんはどうやって決まるんですか?

「プロデューサー次第なんですけど、彼(嵐山)にはたぶんロリ嗜好の要素がないんですね。僕そっちは得意なので、王道のロリっぽいものをと決まったんでしょう」

──過去の『処女宮』シリーズを見返したりは?

「しますします。イメージシーンでは花火をどう持たせるのがいいのか、といったベタな演出を踏襲したいんです。若手監督のなかには、新しいものを求める人っているじゃないですか。僕はそっちじゃないんですよ。新しい発想よりは、今の女の子を使って昔のものをどういじくるかっていうほうが好きなんです」

──冒頭にイメージシーンもインタビューもあるという、古き良き時代の単体物のパターンはどんどんなくなってきてますからね。いまは撮影スケジュールが一日撮りになって、外に出てイメージシーンを撮っている暇がないというのもあるけど。

「いまこのパターンを撮る人が少ないから僕がやろうって思ったし、何より女の子を可愛く撮るのが好きなんですよね。エロに入る前の女の子の魅力というのを最初に見せたい」

──おふたりの監督はプロデューサーからどういう風に評価されているんでしょう。

「嵐山は独創性が売りだから、普通の部分が足りない、ってとこだと思います。僕は温故知新、ライトユーザーに向けて繰り返しやってる。だけど『お前にとってもそればかりじゃよくないから、もっと新しいこともやれよ』という感じですね」

──鉄壁の2枚看板ですよ本当に。今月スカパー!アダルトでヘイキチロウ監督作品が2本放送されるんでひとこといただきたいんですが、まず『新人・さとう遥希デビュー…そして、引退。』です。

「ちゃんとしたデビュー作のない企画系の人気女優の初々しい部分を撮ろうということで始めたシリーズですけど、奇しくも引退と重なって、本音でいろいろ語ってくれたのがありがたかったです」

──ベテラン女優がデビュー作モードになって、最初のカラミですごく恥じらうところが毎回新鮮ですよね。

「激しい潮吹きが売りの、はるきち(愛称)がチョロッとしか潮を吹かなかったですからね」

──このシリーズはどういう経緯で生まれたんですか?

「飲み会の席で有村千佳がこういったんです。『自分は企画物から始まったんで、単体の新人デビュー作みたいのをやってみたい』って」

──今後も人材にこと欠かないから注目のシリーズですね。放送されるもう1本が、有村千佳と初美沙希の「ちかっぽ」コンビのシリーズ『ちかっぽのお宅訪問!『え~っ! ぼ、僕の部屋にちかっぽがやってきた!!』』です。

「ゆる~い感じが売りですね。ちかっち(有村)の自由さ、さきっぽ(初美)のほんわかしたところを撮ろうと思いました」

──ほんと、いいコンビですよね。最後のカラミ前の酒気帯びトークも楽しい。

「盛り上がって、使えない話がいっぱい出ました(笑)」

──その前に撮った2人のレズ物『こりゃたまらん! 可愛い変態の萌え照れレズ 有村千佳&初美沙希』が、この春にスカパー!アダルト放送大賞2015の作品賞に輝きましたよね。

「ありがとうございます。素直に嬉しいです。2人はよそのメーカーで一度レズをやっていたんです。ウチでやるからには、単体メーカーらしくモデルさんをまず綺麗に撮るしかないと考えて臨みました」

──ですね。要所で入る高画質のイメージシーン。ここはさすがh.m.pですよ。

「画質の良さは、当社の会長が指揮していた時代から始まるこだわりなんですよね。僕がADで入社した頃は照明助手が2人もいたので驚きました」

──では、監督の入社までの道のりを教えてください。

「上京して映画の専門学校に入ったんです。それでテレビの制作会社に就職して、ニュース番組をやって、社会の厳しさを知ったんです。番組で使うインタビューの文字起こしを朝から晩まで、終電なくなって泊まりでずっとやってた。もう寝れなくてつらくて、つまんなくて(笑)」

──僕らも、インタビューの文字起こしほどしんどい単純作業はないですからね。構成作家に渡す素材なんですね?

「そうです。全部起こさなきゃいけない。こんなつまんない箇所は使わないだろうとわかってて省いたら『バカヤロー』って怒られるし、風が強いロケだと雑音がひどくて音声が聞き取れない。あとはグルメの行列店探しも大変でした。『行列 昼 イタリアン』とかで検索して、見つけたお店がすでに他局が取り上げていたら探し直し。それで交渉して取材を断られるとまたいちからやり直し。いちばんヒドイのが上司で、『お前はモノを造りたいんだよな? よし飲みにいくぞ』ってノリで、朝まで飲み屋で説教するんです。9ヵ月でやめましたね」

──うわー、テレビ業界ってやっぱり厳しいんだ。それで、次がh.m.p?

「はい。ビーイング(求人誌)見たら、h.m.pの募集が目に飛び込んできたんです。よそのメーカーに比べてとびきり大きいスペースだったんで。(当時専属で売れっ子の)倖田梨紗の写真も載っていましたし。僕も普通の若者以上にAVを見てたんで、h.m.pの面接を受けてみようかと思ったんです」(後編に続く)


Profile
ヘイキチロウ(へいきちろう)
1985年生まれ。映画の専門学校を卒後、テレビの制作会社に入社。過酷で理不尽過ぎる労働環境に耐えかねて、2006年にh.m.pのADとして転職。2008年に監督デビュー。美少女単体メーカーならではの丁寧な画作りと、「ユーザー代表」目線の作品で知られる。


文・沢木毅彦
さわき・たけひこ 1961年生まれ。フリーライター。AV草創期よりAV専門誌にレビュー、取材記事を寄稿。月刊誌、週刊誌、WEBで細々と執筆中。香港映画と香港街歩きマニア。ビールは香港の海鮮屋台で飲むサンミゲル(生力)とブルーガール(藍妹)が最好。
twitter:@berugiisan


放送情報
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