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連載コラム

天才鬼才インタビュー
カントクたちがAVを撮る理由

第18回 雪村春樹(後編)
「羞恥の縄は緩くかけるべし」
監督

──スチールカメラマンとしての写真集、AV監督としての映像作品。それぞれ、これからも大切にしていきたい仕事ですか?

「うん。AVの動画では伝えきれない女の子の瞬間の感情や、覚醒の表情を写真集では一枚の画(え)として伝えることができる。俺はもともと、縛師になる予定はなかったんです。映像で、縛られてる女を撮りたい。縛るいうことは本来攻めやけど、縄の魅力はそれ以外にもあるやろうと。俺が女の子と寝て縛って遊んできた、そこで羞恥心を見せる、その表情こそが最高やろ。いきなり攻めてどないすんねん、と思ったの」

──SM作品の主流は、縛られた女への攻めですよね。

「俺らの時代は団鬼六の『美女縄地獄』とか、そういう攻めの美学、それはそれでエクスタシーはあるけど、奇譚クラブの編集長の、須磨(利之)さんこと美濃村晃の世界は攻めやなく『羞恥の縄』やった」

──伝説のSM雑誌ですね。美濃村晃は緊縛師、絵師であり「昭和SM文化の母」といわれる存在。

「美濃村晃は、襖に女性をハリツケにして、お酒をちびちび飲みながら眺める。そういう縄やった」

──いわゆる放置プレイ。

「それを奇譚クラブでやったけど、理解する人はあんまりいなかった。縄やから、どうしても吊ったり張ったりが多い」

──監督は「愛撫縄」とも呼ばれるこの羞恥の縄こそに興奮するわけですね。

「うん。このコを脱がして縛ったらええやろなぁ、から始まって、口説いて自由に縛らせてくれるまでが大変やん?」

──男が自分の性癖を打ち明けるところから始まるわけですよね。

「そこの過程が全部飛んでる(省かれている)わけやん。AVやから仕方ないけど。だから、俺はそこを見せたかった。東京に出てきてからは、モデルさんに『今日は縛りやねん』ていうたらそれで済むけど、VIPで撮っているとき、単体のコにお願いして緊縛するまでが大変やった。松本まりなとか桜樹ルイとか、普通の単体物の現場でずっと口説いて、やっと縄をかけることができた」

──当時のアイドル系女優を縛っていましたよね。監督は性格でも肉体でも、どういう女性を縛りたいと?

「M女っていうのは女性の悪いところをみんな持ってるから面白いねん。たとえば、嘘つき、強情、性悪。男から見て、なんやこいつは? ていう部分。浮気したのに嘘ついてごまかしよる、説教したって強情やから聞かへん。で、泣いたら許してもらえると思ってる。よそではええカッコしよる、虚栄心が強い、とかいろいろありますわな」

──で、そこが魅力?

「そういう女が面白い。たとえば『俺のいうこと聞いてよ』『はい、わかりました』って、すごくええコやん? そんで終わりやん? ここで『えー。何で?』って拒絶する、そこからが面白い」

──こっちの征服欲がむくむく出てくる。雪村作品は、そうやって口説いてネチネチ攻めているシーンが見どころです。

「実際にそれが好きやし、AV撮るときの演出方法でもある」

──会話の流れくらいは事前に女優に説明するんですか?

「アドリブやね。昔から」

──計算して痴態を導くために相手を煽るわけですね。

「うん。アドリブで、極端にいうたら、カメラ回っているときにほんまに口説く。縛ったり、まさぐったり、耳元でごそごそしゃべったりしながら『エエおっぱいしてるな』いうて、それがカメラマンに胸に寄ってほしいという合図やったりして。そうやって自分のスタイルができあがってきた」

──まさに、言葉責めの原点。

「どんなパンツ履いてるの? いうて『ハーイ』て見せられたら困る(笑)。ええかげんにしいやと。そういうときにはカメラを止めて『キミな、羞恥心て知ってるか?』から話さなあかん。そういうこともありつつ、頑張って縛って、股を開かせるわけや」

──縄そのものへのこだわりは?

「俺はずっと変わってへんな。4.5ミリくらいの細い縄。これを使っているのは俺だけちゃうかな」

──なぜこのサイズ?

「これ以上太いと、女の子の手首と足首を縛ったときにラインが隠れる。ボンデージはライン出すことも肝心なわけや。ただ拘束するだけなら、太い縄でもガムテープでも何でもええけど」

──みっともない姿でいいわけですね。

「攻めの縄は、捕縛やから感じようが感じまいが関係ないわな。けど、羞恥の縄は拘束したらあかん。緩める」

──地味なビジュアルなれど、緩急つけて攻められている感情の流れが女性側にはあるんですね。

「そうそう。そのあとに、間(ま)がある。『縛られて、アソコがべちゃべちゃやろ、見たろか?』。イヤに決まってるやん。けど、すぐに見たら面白くない。見たろか? いうてから、じらす」

──じらされてよけいに濡らすのがいいですよね。

「それが楽しいわけやんか。じらしを演出するのが縄や。向こうは支配されてるからじらされても抵抗できないから『イヤイヤ』って。マゾを演じられたらええわけや。だから『この男に縄1本で支配されてる』って演じさせる時間が必要なわけや。縛られて放置されてるほうが、マゾをやってる時間が長いわけやん? こんなに私は嫌がっているのにもかかわらず、今から触られて感じてしまう私、って演じられるわけや。縛っておいてすぐ攻めても何の面白みもない。だから、その間(ま)を見るのがこっちの仕事」

──わー、すごく理解できます。

「ピンと張る縄やなく、ちょっと緩めるから女の子がマゾのリアクションをできるんや。ひょっとしたら逃げられるかもわからんから。逃げられそうなのに逃げられない。ここでマゾのリアクションができるわけや。縛ってる最中のシーンはいらないというメーカー側の注文が多いけど、女の子の中身がものすごくヒートしてるのはその最中なんや」

──動物が獲物を捕らえて、すぐ食べずにもてあそんでる生殺し状態みたいな。

「そういうふうに縛ってあげないと楽しくないやろ? というのが俺のAVです」

──私はまるでSMってピンとこないです、みたいなコのほうが楽しい?

「そら面白い。人気のある企画単体のコなんか頑張ってアヘアヘいってくれるけど、縄好きのリアクションやなかったりすることがあるからね」

──SMの醍醐味があらためてわかりました。FUCKシーンはおろか、射精なしでも女優はイッて、監督も満足できるわけですね。

「もうこの歳になったら射精せんでもええの。見て楽しむだけでええ。川上ゆうなんか縛って放置してたら30分でももつよ。裸になってなくても、見ながらオナニーできる。欧米のマニアックなものは30分くらいずっとフィックス(固定)で撮ってる。今後、俺もやるつもり。自分に正直に」

──より、つきつめた作品を期待しています。

「さらにシンプルに、撮りたいものだけを撮っていきたいです」

──ありがとうございました!


Profile
雪村春樹(ゆきむらはるき)
1948年兵庫県生まれ。幼少期にすでに女性を縛ることに熱いものを感じた生来の縛師。1980年代初頭からカメラマンとして写真集や雑誌で活躍し、1988年に活動拠点を東京に移す。以後、SM映像の監督活動をメインとして、精力的に作品を発表している。


文・沢木毅彦
さわき・たけひこ 1961年生まれ。フリーライター。AV草創期よりAV専門誌にレビュー、取材記事を寄稿。月刊誌、週刊誌、WEBで細々と執筆中。香港映画と香港街歩きマニア。ビールは香港の海鮮屋台で飲むサンミゲル(生力)とブルーガール(藍妹)が最好。
twitter:@berugiisan


放送情報
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