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連載コラム

天才鬼才インタビュー
カントクたちがAVを撮る理由

第17回 雪村春樹(前編)
「緊縛モデルを地元で口説いてた」
監督

雪村春樹作品ならではのSM物のシーンは、男と女がラブゲームを楽しむ日常そのものである。あらかじめ緊縛された女性が攻められるショー的なSM物と対極をなすといっていい。関西弁のおっちゃんが縄を操って女の子にいたずらしながら、じわじわとM性を暴いてゆくプロセスにエロスがある。どんな女優もスケベで可愛く映るのが雪村作品のたまらない魅力だろう。



──AV監督デビューが1988年ですが、それ以前は地元の兵庫県で一般女性の緊縛写真を撮影して雑誌に投稿しておられたんですよね。

「SM雑誌も写真雑誌もいっぱいあったからね。大洋図書が『雪村春樹』のシャッターネームをつけてくれて、その由来はいまだに聞いてないんやけど、各誌で連載を持てるようになったんです。当時は30歳前後で、これで食っていけると思ってた」

──緊縛するモデルはどこから探してくるんですか?

「地元しかない。近所のスナックで知り合ったお姉ちゃんとかを口説いて縛らせてもらう。『こういうエロいのを撮りたいんや』って口説いて。そのうち、雑誌社がモデルを用意してくれるようになったんです」

──まず、スチールカメラマンとしてSMの仕事に就きたいと思っておられたんですか?

「そうやね。高校出て、大阪にあるコマーシャルを制作してるそこそこの会社に入った。そこからカメラを始めるんやけど、もともと映像が好きやったの。でも、スポンサーの注文通り、技術的にしっかり仕上げて納品するというのは俺には無理やなと思った。そんで、父親が亡くなって、母親から『うどん屋を買い取った。商売を始めるから会社を辞めて店をやってくれ』って急にいわれて、辞めざるを得なくなった。それが23歳くらい。スナックに通って遊び始めたのはその頃からやね」

──そのころから女性とSEXするときに緊縛していたんですか?

「25歳くらいから、ただヤルのは物足らんから縛ってた。そのへんの手拭いとかで。拘束して支配してエッチするのが楽しかったから、後ろ手が多かったかな」

──監督とSMとの出会いは子供のころらしいですが、きっかけは?

「時代劇が盛んで、東映も大映も時代劇をやっていて映画館も満員やった。お姫さんが悪者に捕まって、二枚目の主人公が助けるっていう定番。時代劇やから縄で縛られる。それを真似て、路上で子供らが『御用だ御用だ』って遊んでたんです。そんで、子供のときに、一つ年上の女の子を縛っていたら、熱いものがあった」

──初めておぼえた性的興奮?

「ただ縛って遊んでるだけやし、大人たちが見てもとがめたりしない。けど、縛られてるその子の表情を見て、いけないことかと思って、脇の路地に連れ込んだことがあった。悪いことをしてるのかなと思って。けど、そこから先は何もしていない。ほどいて終わり」

──それ以降、緊縛に開眼を?

「いや、中高生時代は陸上とかバスケとかスポーツに熱中して、縄のことは忘れていた。練習で疲れて、家帰ってバタンキューやった」

──周りで男女交際は?

「あったんやろうけど、俺はオクテやったんです。最初の会社を辞めるまで、女っ気のない日常やった」

──家業となったうどん屋さんを続けながら、気に入った女性を口説いて縛っていたんですね。それで、カメラマンになろうと決意。

「俺は24で結婚して、母親と嫁がうどん屋をやって、俺はちんたらと写真をやって、と思ったんやけど、事情があってうどん屋を売っぱらうことになった。こりゃしっかり働かんならん。食っていくためにいろんな雑誌に投稿を始めた。でも、それだけでは生活できんから、テレビの仕事もやった。本名で出演してリポーターをやったりして、月に1〜2回は上京するようにもなった。で、東京にピンク映画を作ってる知り合いがいて、そこの制作会社もシノギでAVを作ってたんです。それがAV監督を始めるきっかけです」

──40歳になって東京に居を移して、現在の制作会社を立ち上げた。

「編集機材も買ったし、SMじゃない単体物も撮った」

──ですよね。メーカーは今はないVIPとSM専科のシネマジック、あとはどこで撮られていました?

「大洋図書、二見書房、KUKIなどですね」

──月に何本くらい?

「忙しい月は5〜6本。モデルさんと面接して打ち合わせして、撮影して編集。昔は2日撮りやったし、今と違ってパッケージの撮影は別の日だった」

──限界を越える忙しさ。

「ほんまにそう。しかも、VIPなんか単体女優のドラマ物やないですか」

──はい。同じころ、僕もVIPでドラマ物のシナリオを書かせてもらっていましたね。

「AVのモデルさんやから、女優仕事をやりに現場に来てるわけやない。演技できんわけや。男優はよけいにそう。コンニチハの台詞もいえん子が多かった。ドアを開けてコンニチハと入ってくるシーンだけで時間かかる、もうええわ、このくだりはカット! そんな時代やん? これを何とかしようということで、自分がカメラ前に出て縛り始めたんです」

──ドラマがかっていた商業ベースのSMも、不本意ながら撮っておられたということ?

「商売も大事やからね。その一方で、マニアックな自分の縛りを、サンセットカラーレーベルで撮るようになった」

──趣味の世界。

「趣味やね。ノーFUCKでもいい」

──今月、スカパー!アダルトでオンエアされる監督の作品が、「人妻おしおき劇場『ひとのダンナを寝取った女はお仕置きよ!』」なんです。雪見紗弥、あすかみみ共演の。ひとことお願いします。

「懐かしいな。雪見紗弥は襦袢の紐で縛って、『俺がやらしいもんを撮影したる』いうて小さいカメラで撮ってるだけで、ハマってハフハフいうて悶えとったわ。だいたいね、羞恥心あるコが露出狂や。羞恥心がなかったら露出したって楽しくないやん」

──なるほど。

「あんなにすぐ濡らすコは少ない。雪見紗弥はSMと関係なく、男さえあったらええんちゃうかなと思った淫乱やね。あすかみみは当時、まだまだ自分をさらけ出せなかったけど、あまりにも雪見紗弥の反応がすごいんで、つられて淫乱になっていきよった。縛るのはイヤやっていうてたのが『縛って』って」

──それは監督が求めてるリアクションじゃないわけですよね?

「そうなんや。出番は雪見8割、このコが2割って考えてたんやけど、思ったよりもエロくなったから長い時間回しましたわ」

──美少女コンビの作品ですね(ということで、後編では雪村春樹の縄の世界をさらに深くうかがいます)。


Profile
雪村春樹(ゆきむらはるき)
1948年兵庫県生まれ。幼少期にすでに女性を縛ることに熱いものを感じた生来の縛師。1980年代初頭からカメラマンとして写真集や雑誌で活躍し、1988年に活動拠点を東京に移す。以後、SM映像の監督活動をメインとして、精力的に作品を発表している。


文・沢木毅彦
さわき・たけひこ 1961年生まれ。フリーライター。AV草創期よりAV専門誌にレビュー、取材記事を寄稿。月刊誌、週刊誌、WEBで細々と執筆中。香港映画と香港街歩きマニア。ビールは香港の海鮮屋台で飲むサンミゲル(生力)とブルーガール(藍妹)が最好。
twitter:@berugiisan


放送情報
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