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連載コラム

天才鬼才インタビュー
カントクたちがAVを撮る理由

第16回 ペヤングマキ(後編)
「男の人にエロいと思われたい」
監督
──レズナンパ物の前に、ガスでドキュメント物は撮っておきたかった?

「撮りたかったですね。ドキュメントって難しいなあって思うからなおさら。今の時代だと、ガスで撮っていたようなものは撮れなくなったじゃないですか。女優さんが、作っていない素の姿をカメラの前でさらすというのが」

──メーカーも女優のプロダクションも積極的ではないですよね。で、今はナチュラルハイでシチュエーション物を撮っていますよね。今年になって『僕を疑い侮辱した強気な職女にオマ●コおっぴろげ謝罪を要求!!犯してもツン顔でイキガマンし続ける意地張りSEX 2』を見ましたが、下の口をパクパクさせながら女が「ごめんなさい」と謝るという、男性的な骨太の演出!

「(苦笑)男が見て、高慢ちきな女であればあるほど、『コイツやりてー』みたいになるわけですよね。そこをポイントに演出しました」

──男の監督が撮るナチュラルハイの痴●物などは、あそこまでセリフ、会話は練らない。一方的に女が受け入れてヤラせるという大前提があって始まっている世界ですから。

「うんうん(頷く)」

──ああいうのはどうです?

「ナチュラルハイの痴●物は好きです。やっぱり最初に見たのがお父さんが隠し持っていた劇画なので(笑)。女の子が作業員のおじさんに囲まれてやられちゃうやつとか、そういうのがエロいっていうイメージしかなかったんで」

──そうか。鳥が初めて見たものを親だと思うような。

「そうそう、最初に見たものをエロいと思って(笑)」

──じゃあ、痴●に屈伏するこんな女なんて現実にいるわけないワ、という反発を感じることなく見られるんですね?

「劇画育ちなんで(笑)。だから、『女性向け』のソフトな綺麗系なAVには興味なかったんですよ」

──重なり合って愛を囁くなんていうシーンよりは、ハメシロを見せろと。

「どちらかというとそうですね。監督する側からいっても、自分がエロいと思うものを表現するというより、男の人にエロいと思われたいというのが基本なんですよね」

──なるほど。

「ふだんでもそうです。女の人ってどっちかというと男の人が求めるものに対応するほうが多いじゃないですか。私も、エロいと思われたいんですよ」

──日常的にも。

「日常的にも。自分が求められるものに応えたいという気持ちのほうが強い。結局、撮っているスタンスもそれと一緒なのかなって。媒体的にも男性向けだから、男性がどう見たら興奮するのかなと考えてます。でも、私が撮る作品に関していうと、最近求められるものが変わったんですよ。自分から誘えない気弱な男が、なぜかエロいシチュエーションになって都合よく女のほうが発情してくれて、最終的にエロエロになるというのが多くなりました。それが、今の草食男子の夢なんですかね」

──草食男子に向けてのファンタジーを作っているという意識?

「そうですね。ファンタジーではあるけども、リアリティがないと感情移入できないから、リアルとファンタジーの兼ね合いをいちばんいい所にもっていきたいって思います」

──リアリティを感じるポイントって人によって違うじゃないですか。女性が男性を許容するボーダー。ある人はリアルだと思っても、別のある人は「都合よすぎる」と思ってしまう。

「そうですね。AVってやっぱり展開が都合いいじゃないですか。絶対こんなのありえないじゃんていうとこに持っていかなきゃいけなかったりするじゃないですか。でも、その過程でリアリティがどこかで含まれていたら、最終的にはありえないところにいくんだとしても、見てて感情移入できる」

──どこかにリアリティがひとつあればいいんですよね。

「完全なリアリティはAVである以上無理ですよね」

──あー、やっぱりそうですよね(あらためて認識)。さて、ペヤングさんは熟女専科のマドンナでも撮るようになりました。

「制作会社からドラマ物を撮ってみないかっていわれて。たまたまマドンナだったんです」

──ナチュラルハイ作品とは取り組み方が違いますか?

「ナチュハイのほうはシチュエーションが最初にあって、そこから考えるけど、マドンナのドラマ物は女優さんからイメージをもらってシナリオを考えます」

──ペヤングさんは、男優の花岡じったファンだということを以前いっていたけど、今はどういう男性に惹かれます?

「男の好みが迷走して、年齢とともに今よくわかんないことになってるんです。花岡じったさんみたいなオラオラ系は若い頃はすごく好きで、そういう男のいいなりになる自分が好きだったけど、年取ってきたら、オラオラ系がダメになってきちゃって」

──なぜ? 何かに懲りたとか?

「うーん、何がきっかけだったんでしょうねー。なんか知らないけど、年下の可愛い系のコのお尻を撫でたい……みたいな気持ちになってきたんですよ」

──ほー。

「でも結局オラオラ系のいいなりになるタイプだったんで」

──関係性でそっちのほうが楽だから?

「そっちのほうが楽だから。可愛いコのお尻をさわる勇気もないし(笑)」

──あ、そうだ。フィギュアスケートの羽●結弦の大ファンだと聞きましたけど?

「んふふ。17歳で出てきた頃の羽●君にすごく惹かれて……あ、そこから変わっちゃったんですよ(笑)。母性本能と恋愛感情がごっちゃになっちゃったんですよね」

──なんだそっかー。羽●君の筆おろししたいですよね?

「いやいや羽●君ファンに殺されるかもしれない(笑)。マドンナの『僕の義母さん』シリーズは息子役の名前が毎回ユヅルなんですよ。ユヅルが葛藤してて、『あのメスブタ(義母)のせいでオレは勉強できない!』みたいな(笑)」

──おお、それは見なくては! まとめると、やっぱり女性として男からエロいと思われるのは大切なことですよね?

「そうですよね。エロいと思われたいというのが常にあります。若いときは相手のいいなりになるほうが快感だったし、自分からこうしたい、って行動してなかったんです。でも、年とってきたらエロを出す方向性を変えざるをえない。今、自分のエロの方向性が変わってきてるのかもしれないですね」

──今月、スカパー!アダルトでペヤングマキ監督作品『突然の土下座尻に出会って即勃ち!他人事だけど優しい声をかけたら…泣きながら抱きついてきたので尻揉み、尻舐め、衝動エッチ』が放送されます。ひとことお願いします。

「女の人が土下座させられていて、それを慰めながらヤッちゃう話です。慰めながら相談に乗っているうちにSEXに持ち込む流れって世の中にはけっこうあると思うんですよ」

──あるある。

「じゃあちょっと飲みにいこうよってなって、女の人も男の人に相談するときって、どこかでエロい展開になるのを期待してますよね。そもそも、それが想像できない人にはまず相談しないですよね」

──そういうものなのか。これは男の一方的な観念の世界じゃなく、女性もアバンチュールを期待するんですか?

「しますね」

──女性のペヤング監督から聞いて、このテのシチュエーション物の見方がこの先変わります! ありがとうございました。最後にひとことお願いします。

「これからも、男性がエロい気持ちになれるようなもの撮っていきたいです」


Profile
ペヤングマキ(ぺやんぐまき)
1976年長崎県出身。中学生のころから演劇にのめりこみ、青春時代を稽古に捧げた。大学卒業後はシネマユニットガスに入社し、高槻彰、平野勝之などの異才監督の薫陶を受ける。現在はAV監督業の傍ら、演劇ユニット「ブス会*」を主宰し、第59回岸田國士戯曲賞最終候補に残るなど演劇界での評価も高い。


文・沢木毅彦
さわき・たけひこ 1961年生まれ。フリーライター。AV草創期よりAV専門誌にレビュー、取材記事を寄稿。月刊誌、週刊誌、WEBで細々と執筆中。香港映画と香港街歩きマニア。ビールは香港の海鮮屋台で飲むサンミゲル(生力)とブルーガール(藍妹)が最好。
twitter:@berugiisan


放送情報
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