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連載コラム

天才鬼才インタビュー
カントクたちがAVを撮る理由

第9回 坂本優二(前編)
「ビニ本のポエムをAVに応用」
監督

アダルトビデオ創草期の1984年。美少女単体メーカーの老舗・宇宙企画から「ミス本●・裕美子19歳」がリリースされ、主演女優の田所裕美子が、「えっ、こんな清純派タイプがアダルトビデオでSEXするの!?」と世間を驚かせた。単体AV第1号と呼ばれるこの作品の制作に関わっていたのが坂本優二監督だ。

現在は専属単体女優メーカーのトップ・アリスJAPANの主力監督である彼こそが、日本の美少女単体物のスタイルを発明したひとりなのだ。

──どういう経緯でAV監督になられたのでしょう。

「宇宙企画は、前身がビニ本や自販機本を作っているエロ系の出版社だったんです。求人誌を見て、編集者を募集してるのかと思って応募したところ、僕は『印刷進行』という部署に回されたんです。やがて会社がAVメーカーになって、僕も撮影現場の仕事をしたくなって、のちに『ミス本●・裕美子19歳』を監督するビニ本カメラマンさんと一緒に退社して、下請けの制作会社を立ち上げたんです」

──撮ったのは坂本監督ではなかったんですか。

「はい、監督を担当したのは僕ではないんですが、実は、あの作品はビデ倫の審査に一度落ちていて、二度目の審査のときに僕のアイデアが入っています」

──審査に落ちたんですか? あんなソフトタッチの作風なのに?

「ストーリー性がないからダメだといわれました。当時はただヤッてるだけという内容じゃ審査を通らなかったんです。それで、どうしようかと思ったとき、そういえば、さんざん作ってきたビニ本にはポエムが乗っている。これだ、と思って『少女が大人の階段を一歩昇るとき……』みたいなテロップを挿入して、女の子の心情をデッチあげたところ、審査に通ったんです」

──まさに、ニッポンの単体女優AVの原型が誕生した瞬間だ!

「そこから監督として独立し、宇宙企画の下請けで作品を撮るようになり、フリーの立場なので並行して他社の単体女優物も撮るようになったんです」

──あらためて、ざっとメーカー名を挙げてもらえますか。

「クリスタル映像、マックス・エー。セルが主流になってからはソフト・オン・デマンド、ムーディーズ、アタッカーズ、S1などですね。現在はアリスJAPANだけです」

──昔と今で、AV女優の気質に違いを感じますか?

「感じますね。今の女の子のほとんどは、完全にプロ意識を持ってやっている。昔は、やる気はないけどお金のために出演するという女の子が多かった」

──専属女優の層が厚いアリスJAPANの女の子のなかでも、坂本監督は葵つかさをすごく買っていますね。2009年に坂本監督が彼女のデビュー作を撮ったとき、「ここ10年で一番の作品が撮れた」と絶賛しておられました。

「アリスJAPANはタレント性の高い女優さんか多いじゃないですか。つかさちゃんはタレントとしてのオーラがすごいし、プロ根性もすごくある。デビュー直後から『カラミのときにいろんなエロいことを喋れるように勉強してます』といっていたからね」

──アリスJAPANで撮った女の子で、すごいなと思った女優さんはほかにいました?

「及川奈央と麻美ゆまもそうですね。タレント性があって、こちらが求めているスケベなシーンをきっちり作ってくれる。プロだなぁって思いましたよ」

──プロっぽいコがいるいっぽうで、普通っぽい可愛さというのも貴重ですよね。

「そう。アリスJAPANだと、木下あずみはそういうコだったよね。彼女は、東日本大震災があったとき、いちボランティアとして現地にいっていたし、いろんな部分で普通の女の子としての可愛さにあふれていたね」

──アリスJAPANで坂本監督が手がけておられる人気シリーズについて聞きたいんですが、まず「出会って○秒で合体」シリーズ。朝、スタジオに来て女の子がおにぎりを食べ始めるといきなり男優が全裸で現れるというドッキリ物。ハプニングやトラブルはありました?

「それがないんですよ。すぐに感じて濡れるコもいれば、なかなか濡れなくて最初は痛がるコもいるけど、臨機応変にカラミのシーンに対応する。さすが、メーカー専属の単体女優だなと思いますよ」

──演出していて楽しいのはどういう部分ですか?

「本人も気づいていない素の部分が見られるところ。人間て、驚くと最初は笑っちゃうんだけど、笑いながらも少しずつ感じちゃって、恥じらいながらも没頭していく、そのプロセスですよね」

──まさに、ドッキリ物AVの醍醐味ってそこですよね。

「あと、カラミの最中にインタビューするのが楽しいよね」

──坂本監督のスタイルのひとつですよね。女優が男優とFUCKしている最中に「好きな食べ物は?」とかエロと関係のない質問までする(笑)。女の子の素の可愛さとエロさが同時に見えてすごくいい!

「会話していて、理性的な部分と欲情的な部分の綱引きみたいな、あっちいったりこっちいったり、という反応が面白いです」

──あと、監督名のクレジットはありませんが、同じジャパンホームビデオのアリスJAPANじゃないエロチカレーベルの「すぐに破れるコンドーム」も坂本監督が撮っておられるんですよね。

「うん。これは、ハメシロ(性器の結合部分)を見せることを心がけています。プロデューサーから『ゴムがチンチンの途中で止まっている状況でのピストン運動をきちんと見せてくれ』と注文されているので」

──あとは2年前から始まった「レ●プ学園 文化祭ストリップショー」ですよね。

「これは、クライマックスのストリップショーが売りだけど、視聴者は真剣なレ●プを求めているのではなく、ノリの軽さのなかに垣間見える女の子の魅力を重要視する。メーカーの専属女優って、いろんなパターンの作品で常に新たな魅力を引き出すことが大事でしょ」

──飽きられますからね。アリスJAPANの専属は他社の女の子と比べて息が長い女の子が圧倒的に多い。それは、メーカーがバラエティに富んだシリーズを擁しているからだといえるでしょうね?

「そう思うし、本当にアリスJAPANはやる気がある女優さんが多い。川上奈々美、アイデアポケットに移籍した朝日奈あかりなどなど」

──小島みなみ、奥田咲もS1に移籍したけど、これらビッグネームはすべてアリスJAPANデビューですからね。先に名前のあがった麻美ゆま、あと、蒼井そらもそうです。

「プロデューサーの力も大きいですね。3年も4年も人気が褪せないでもつというのはすごいことでしょ」

──2000年以前のAV女優は、平均して2年くらいで引退でしたからね。あと、監督も中高年になると仕事がなくなるなか、坂本優二監督だけがAV創草期から今までコンスタントに旬の女優の作品の発注がある。どこに秘訣があるのでしょう?

「僕のほうこそ教えてほしいなそれは(笑)。でも、僕は常にリサーチしてるんですよ」

──どうやって?

「ネットの掲示板です」

──あ、「2ちゃんねる」とか見てるんですか?

「僕が撮った女優のファンが立てたスレッドは必ず見ます。意外なプレイが好評だったり不評だったり、発見があるんですよ」


Profile
坂本優二(さかもとゆうじ)
1984年の「ミス本●・裕美子19歳」を皮切りに、美少女単体女優の作品に携わり、AVにおいて美少女の撮り方を確立させたパイオニア。現在も、アリスJAPANの人気シリーズや新人のデビュー作で監督を担当するなど、その手腕への評価は極めて高い。


文・沢木毅彦
さわき・たけひこ 1961年生まれ。フリーライター。AV草創期よりAV専門誌にレビュー、取材記事を寄稿。月刊誌、週刊誌、WEBで細々と執筆中。香港映画と香港街歩きマニア。ビールは香港の海鮮屋台で飲むサンミゲル(生力)とブルーガール(藍妹)が最好。
twitter:@berugiisan


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