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連載コラム

天才鬼才インタビュー
カントクたちがAVを撮る理由

第1回 カンパニー松尾(前編)
「ハメ撮りの帝王は素●童貞だった」
カンパニー松尾

カンパニー松尾監督は、いまではハメ撮りジャンルでトップの人気を誇る監督だが、素●女性との経験はほぼゼロ。監督いわく、「素●でヤッたのは1人か2人。それもAV監督として、あるイベントに呼ばれて知り合った人だから、本名の僕として、AVをバックボーンに持たずに普通に付き合ってSEXしたことはないです」だという。筆者は以前そう聞いて、カンパニー松尾を、“カリスマ素●童貞"と讃えたものだ。1990年4月の「ウンタマギール2 憂花かすみ」(V&Rプランニング)で公式ハメ撮りデビュー。1994年あたりで現在のハメ撮りスタイルが固まったという。

「V&Rプランニングに入って、社長であり監督の安達かおるさんの現場に助監督で付いたんです。安達監督は、女の子を叩くわ、言葉でなじるわ、チ●ポ咥えさせるわ、ウ●コもさせる。そうやって自分で女の子を追い込んで泣かせておきながら、『その涙の意味は何?』って聞く。すごいなと思った。中学校のときに聴いたセックス・ピストルズが22歳の僕のなかで再び聞こえた気がしましたね」

──パンクロックすぎる安達監督の後ろ姿を見て、監督として育ったわけですね。

「安達監督と会っていなかったら今の僕はいません。V&Rプランニングの前に、僕は1年間ほどテレビの制作会社で音楽番組を作っていたんです。不条理な世界でした。音楽番組のスタッフなのに、誰も音楽を愛していないんですから」

──元請け会社から、やれといわれたことをルーティン的にこなしているだけの制作会社ですね。

「今になって考えればよくあることで、むしろそれこそ普通の大人社会だと思うんですが、安達かおる監督はそうじゃなかった。本気で主演女優と向き合って、本気でいじめているんですから。カメラをいったん持てば、目の前にいる相手がどういう人間かを描くべき。そしてそれはAVの仕事だからこそいちばん近づけるんだ、ということを教わったんです」

──最初は男優を使った単体女優AVも演出していた松尾監督が、ハメ撮り路線に転じるプロセスを教えてください。

「当時のV&Rは、ウ●コ物を撮る安達かおる監督以下、過激な監督ばかりが集っていた。レ●プ物のバクシーシ山下、拷問物の平野勝之ら。そういう人たちとは、別な土俵でないと戦えないなと考えていたとき、女優さんとは何ぞや? と思ったんです。面接の席ではキャラクターが面白い女の子でも、ドラマ物で起用すると面白さが影を潜める。素●さんなので、芝居をさせるとアラが目立ってしまう」

──女優といっても、演技の訓練を受けているわけではないですからね。

「だから僕は、単に1人の脱ぐ女性ととらえたんです。それには、カメラと照明がある舞台装置ではなく、まず公園で会って他愛のない話をしたり、一緒に食堂で飯を食ったり、そういう日常の景色のなかに立たせるほうが、彼女たちにはふさわしい。そこに落とし込んだほうが、実際の彼女たちの魅力を引き出せると思ったんです。それに僕は個人主義というところもあって、1人になりたかった。僕の主な移動ツールはバイクですから」

──地方に住む“AV出演志願兵"の女子のもとへ、バイクでいくシーンから始まるのが、松尾監督の作品パターンのひとつですよね。

「バイクは1人になれる乗り物だから好きなんです。なのでツーリングってしたことがない。1人で移動できる道具を持っているのに、みんながつるんでどこかにいこうというのは、僕にとってはナンセンス」

──それでマンツーマンのハメ撮りの型が成熟していくわけですが、女優にカメラの存在を意識させないことを心がけています?

「意識させないケースが多いですね。朝、会った瞬間、『おはようございます』とか、『今日はよろしくお願いします』をいわなかったり、そういうところから始まる。だいたいのスケジュールは伝えるけど、『用意スタート』としゃべって撮影を始めたことは一回もないです。ありのままを収めていくというスタイルです。周りの監督たちが過激だったので、自分の平凡さを逆手に取るということをやり出したんです」

──松尾監督の自己評価は平凡なんですか。

「僕は、愛するものはカレーライスと巨乳とバイクという、男の子の最大公約数的な、何の特色もなかった人間なんですよ。平凡な家庭に育ち、異端なものへの憧れもなかった。遊ぶのは男の同級生とばかり。音楽は好きだったけどバンドをやるタイプではないし、ライブを見にいくことも面倒くさい。でも、日々楽しかった。反抗期もなかったんです」

──コンプレックスがないことがコンプレックスだったりは?

「それすら思ってなかったです」

──童貞でV&Rに入社したということも、作風がハメ撮りになったことと関係あるんですかね?

「あるでしょうね。もともと女性とちゃんとしたコミュニケーションを図れて、初体験も済ませて、甘い経験からほろ苦い経験まで全部済ませたうえでV&Rに入っていたら、自分が蓄えてきたものを、女性を使って表現しようとしたと思いますね。でも、僕はノンポリだし、非常に平和主義者だし」

──なにかと戦う表現者というスタンスは、とりようがなかったんですね。でも、そのわりには、ハメ撮りの最中に女性の尻をバシバシ叩いてます(笑)

「あのSとMの関係は、相手が望んでのものだから平和ですよ(笑)」

──中2の童貞マインドのままここまで来たと、かつておっしゃっていましたね。

「うん。包容力みたいなものはない人間なんですよ。SEXの経験がなく、ハメ撮りから入ってるから愛情のないSEXもできちゃうんです。もともと性欲が強かったし、童貞だったから、ストレートに性欲を反映させることは恥ずかしくも何ともない。僕は作品中で、女性を全裸にしない。服からポロリ見える巨乳の谷間が好きで、パンスト穿かせて破くのが好き。パンティ穿かせたまま脇からチ●ポ入れるのも好き。そういう中2みたいなことしか今もできないんです」

──僕はこれしかできないんだよということをやっているから、そりゃあ本物の性欲が滲み出たエロいハメ撮り映像になるということですね。

「それだけの話なんですよ、僕の作品て(笑)」


Profile
カンパニー松尾(かんぱにーまつお)
1965年愛知県生まれ。1987年、童貞でAVメーカー「V&Rプランニング」に入社。同年、22歳でAV女優を相手に作品のなかで筆下ろしを果たす。1996年V&Rを退社。2003年、自身のメーカーHMJM(ハマジム)を立ち上げる。代表作に「私を女優にして下さい」「テレクラキャノンボール」など。2014年に、劇場公開した「テレクラキャンボール2013」が大ヒット。


文・沢木毅彦
さわき・たけひこ 1961年生まれ。フリーライター。AV草創期よりAV専門誌にレビュー、取材記事を寄稿。月刊誌、週刊誌、WEBで細々と執筆中。香港映画と香港街歩きマニア。ビールは香港の海鮮屋台で飲むサンミゲル(生力)とブルーガール(藍妹)が最好。
twitter:@berugiisan


放送情報

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第100回 芳賀栄太郎(後編)「熟女AVは朝イチがキモ」
第99回 芳賀栄太郎(前編)生保に入って外交員をキャスティング」
第98回 安達かおる(後編)「絶対に疑似は使わない」
第97回 安達かおる(前編)「人が目を背けるものを撮りたい」
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第94回 赤羽菊次郎(後編)「ヘンリー塚本の台本なら撮ってもいい」
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